有力候補ではなかったプレボスト卿
アメリカ人のプレボスト枢機卿が新教皇に選出され、レオ14世としてサン・ピエトロ大聖堂のバルコニーから全世界へ向けて初めてメッセージを発したのは2025年5月9日のこと。
テレビで見ていたのですが、名前の挙がっていた最有力候補たちの一人ではなかったので、コメンテーターの方々も興奮しているようでした。
メッセージは力強く、しっかりとこちらの心に響く感じがして、カトリック教徒ではないのにとても感動しました。
フランシスコ前教皇が選出された時には、自然体で素朴に「こんばんは」と聴衆に語りかけたのを思い出します。
彼の人となりをそのまま表すように、気負わず飾らず、親しみやすさが滲む語りかけで、それもとても素敵でした。
でもレオ14世はまた違った感じで、人柄を想像させるようなメッセージ発信でした。書いたものを読みながらでしたが、はっきりと明瞭で一言一言力強く、彼の情熱や信念が伝わってくるようでした。
それでどんな人なのかとても興味が湧いて、出生ホロスコープを読んでみました。
乙女座への天体集中
レオ14世の出生図では主要天体が乙女座に集中しており、乙女座的気質がものすごく強い人であると思われます。
特に太陽と月がともに乙女座にあるので、「こうありたい自分」と「心がしっくりくる素の自分」が同じ方向を向いていて矛盾がなく、同じ乙女座的傾向を強め合うことを示しています。
じゃあ、乙女座気質とはどんなものか。乙女座は他者への奉仕や実務能力、緻密さなどを象徴します。
現実的で実際的で、地に足がついた星座とも言われます。
「人間たるもの人の役に立たねば」という価値観を持ち、「他者に奉仕する」ということがこの人にとっては自己実現の目的であり、心から望み感情が安定する行為であると解釈できます。
そして責任感が強くきっちり地道に仕事をする人のようです。
また、愛や喜びを表す金星も乙女座にあります。実際的で有用なものを好む現実的な気質です。
さらに、行動力を表す火星も乙女座にあります。
細部にこだわってきっちり仕事をすることや役に立つことがやる気やモチベーションとなっていると解釈できます。
つまり他者に奉仕していると感じること、きっちりこだわって仕事することがこの人の喜びでありやる気の源でもあります。
公平と調和を重んじる知性と暖かなカリスマ性
知性やコミュニケーションを表す水星は、天秤座にあります。
これは、外交に長けバランスを重視し公平なコミュニケーションスタイルを持つことを表しています。
獅子座に位置する木星は、暖かいリーダーシップの才能、寛大で人を惹きつけるカリスマ性を与えてくれていると読むことができます。
そして土星は蠍座にあります。これは、蠍座の象徴する「情熱、変容と深いつながり」に土星的性格でのぞむことができると読めます。
つまり、強い情熱を持って、この時代の変革プロセスに冷静に戦略的に立ち向かい、深いつながりをもたらし、大きな責任を果たすことができる可能性を秘めた配置だと読むことができます。
最後に、世代的な深い欲求や理想を象徴するトランスサタニアン(天王星、冥王星、海王星)はどこにあるのかというと、火と風の星座にあります。暖かなヒューマニズムをもって変革をしたい、そして、他者と対話によってバランスのとれた調和ある関係を築いてパートナーシップを築きたいという理想を示しています。
奉仕の心と優れた実務能力を持ったバランス感覚あるコミュニケーター
つまりこれらを総合すると、出生ホロスコープから見たレオ14世は、奉仕の心と優れた実務能力を持ち、正義と調和を求めてバランス感覚ある対話ができる、暖かいカリスマのあるコミュニケーターということができます。
穏やかでありながらも深い変革欲求を持っているタイプのリーダーである、と見ることができます。
レオ14世という名前が持つ意味
こういう解釈だと、国際秩序の安定が求められるこの混迷の時代になんだかぴったりな人選のように思えます。
就任初メッセージでは、「平和」という言葉を何度も強調しながら繰り返していました。
その平和はもちろん、抽象的で観念的なものではない、現実世界の平和です。
現実世界の社会問題に取り組むという決意が、彼が自ら教皇名として選んだ「レオ14世」という名にも表れていると言えます。
14世というからにはその前に13人レオがいるわけですが、意志を継ぐという意味では一つ前のレオ13世を踏まえて選んだのだろうと言われています。
レオ13世は、全カトリック教会に向けて初めて、労働者の権利や社会システムに言及し、社会問題への主体的な取り組みを指示する回勅を出したことで有名な教皇だそうです。
フランシスコ前教皇と近しい関係にあり継承路線を想像させながらも、歴史上の教皇の中から敢えて「レオ」を選んだのは、社会問題に取り組み、現実社会と結びつき、現実社会に奉仕する、という新教皇の意思表明だと見ることができます。
名前の選択といい、世界への初めてのお目見え時に(選出からの短時間に)文面を用意して即興ではない挨拶をするなど、随所にホロスコープでも読み取れるこの人らしさが感じられるような気がします。
ある日ある瞬間から、残りの人生を教皇として生きていく。
そんな難しい使命を引き受ける決意をするというのはどんなものなのか想像もできませんが、新教皇が、健康で、自分らしく信じる道を行き、世界の平和に良い影響を与えてくれることを願います。